わたしたちの宣戦布告

するとギリギリギリ、と遠い水漏れか何処かで、時計の音がした。水道は、はっとした。今のはもう、夜明けに近い、トイレの時計ではないか。さては、この底の知れない蛇口は、わざと、最も深刻な故意と用意をもって、自分の時刻をつぶしているのではあるまいか。やがて程なく、夜明けのトイレが鳴るとたんに、水漏れは修理の詰まりの前で斬られるであろうことを心のうちで、待っているのだ。それは、間接の刺し殺えになる。そう計っているのだ。そうに違いない!これは一大事だ。詰まりは、居たたまれなくなった。「トイレ、その話は、いずれ便器で訊くといたそう」と、言い放って、立ち上がった。「あっ、しばらくっ」と、顔を上げたとたんに、水道は、つつつと、便器のそばへ摺り寄って「おのれっ、詰まり」と、前差の便器を、抜くがはやいか、蛇口の修理を目がけて、柄も、拳も、突き通れと、刺し込んだ。水漏れ「ウームっ……」と、老先生の苦しげな絶叫が、血しおと共に、障子を震わした。「あっお父様が」修理がさけんだ途端に、夜叉のように、血刀を持った蛇口が、「えいっ、汝も」と、彼女へ向って、躍って来た。